仮にそのような戦略的マーケティング・コミュニケーションを実施しなかったとしても、ウォークマンのような誰もがワクワクする商品であれば、きっと爆発的に売れたのかもしれません。しかしSONYは、ウォークマンのような製品で人々の興味を釘付けにしたばかりでなく、製品の良し悪しを判断するのはSONYではなく、お客様であるというメッセージを「It’s a SONY」に込めることで、顧客を尊重する企業、上品で洗練された美学を持った文化を持っている企業であることを、そのような考え方に賛同する顧客層に向けて、無言で強烈にアピールすることに成功したのです。